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2022年 7月 16日 On your own~青木先生~


 パスカルはもしかしたら最も身近な科学者かもしれません.そろそろ夏となるこの時期,台風の天気予報などでしばしば耳にする気圧の単位で,ヘクトパスカルという単語を聞いたことはあるでしょう.そんな彼の最も有名な言葉,「人間は考える葦である」・・・①,について考えてみましょう.この格言の「葦」は当然比喩表現で,直説法では「もの」,「実在」といった言葉に言い換えられるでしょう.つまり①⇔「人間は考えるものである」・・・②です.ここで②の対偶をとると「考えないものは人間でない」と言えます.ここで当然の疑問が浮かびます.いや,浮かばなければなりません.いささか強引な議論ではないか? そもそも,パスカルの言葉は正しいのか?  これが,大陸合理論が受けるべき批判です.一方,イギリス経験論も同じく批判を受けることは明らかです.なぜならば,そもそもの前提が存在しないからです.例えば物が上から下に落ちる現象を観察しているとき,今回だけはたまたま上から下に落ちたが次回はどうなるかわからない,のように無限に問いを立て,後退することができてしまいます.

 このように大陸合理論とイギリス経験論はどちらも欠点を抱える議論をしていますが,その過程・手法自体は私たちが応用できるものでしょう.大陸合理論では,デカルトの四つの規則がそれにあたります.「明証・分析・総合・枚挙」です.それぞれ,問題に対して,よく検討して疑うことのできない状態にすること,問題の最小単位まで分割すること,分割したことをひとつずつ重ね合わせること,何度も見直しをして見落としがないことを確信すること,です.

 これを読んでいる人は生徒しかり,担任助手しかり,今,なにか問題に取り組んでいる人だと考えられます.卑近な例ですが,最近勉強法説明会が開催されました.これが意味することは,生徒が「勉強法」についてわからないことがあることです.もちろん,私たちスタッフは相談に乗りますが,そもそも数学の苦手を克服したい,もしくは得意をさらに伸ばしたい,と問いを立てたとき,先程紹介したデカルトの4つの規則を用いてみてはいかがでしょうか.さらに,数学に関しては,数学の勉強法についてだけでなく,個々の問題についても4つの規則が応用できると思われます.問題を分析して,問題を構成する要素に分解し,それを解答用紙のなかでまとめあげ,最後に全ての論理構成を見直せばよいのです.このように私が述べた「勉強法」をイギリス経験論に基づいて疑ってみてはどうでしょう.不十分ながら,「勉強法」についての議論の出発点になれば幸いです.

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